誰も待ってないであろう第三話(ぉ |
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| そんなわけで、本日二度目の更新。 何故か順調に続いちゃってますよ? 俺がビックリだ(ぉぃ)。 前回同様、文字数オーバーになったので追記に続きを。 感想、ダメ出し等あったらコメント欄に書いて貰えると大いに喜びます。 ではでは、今回もどうぞ!
「ふぅ……」 僕は自分の席に着くなり、机に伏してため息をついた。 ……理由は単純だ。さっきまで「殿の側を離れるなどとんでもない!」と言い張っていた刀部さんを必死になだめすかしていたからである。 守ってくれるのは嬉しいのだが、自分のせいでで彼女自身の立場が悪くなるというのは嫌だった。 いくら彼女がそれを意に介していなくても、だ。……もしかすると、ただの自己満足なのかもしれないけれど、それでも彼女の為になっていると信じたい。 「おはよう克己ー」 頭上から緊張感皆無の声が響く。この声は…… 「おはよう、チュウタツ……」 僕は顔を上げるとその声の主であるチュウタツ──友仲 達也(ともなか たつや)に挨拶を返した。 幼げな容貌とその中心に位置する糸のような目は緊張感を削ぎ、また細く小さい体は少年のような印象を与える。 が、それに騙されてはいけない。彼を侮り危害を加えようとした人間、はその悉くが彼の計略にかかって精神的、或いは社会的に潰されている。 「チュウタツ」というアダ名の由来は昔の中国の凄い軍師の名前で、彼の容赦の無い苛烈な作戦からつけられたものだ。友人とすれば心強いが、絶対に敵には回したくないタイプである。 「悪い、チュウタツ。疲れてるから休ませて……」 「あははー、朝から大活躍だったみたいだからねー」 僕の言葉に、チュウタツが楽しそうに答えた。どうやらもう僕の身に起こった事を知ってるらしい。 噂の伝達速度のあまりの早さに、ただでさえ疲れて重い頭がさらに重くなる。 ……いや、あれだけ派手な事したんだからすぐに広まるとは多少は予想はしてたけど。 しかし、そんな事を考えたのも束の間。 「分かってんなら休ませれー……」 半ば思考放棄しながら再度机に伏す。……色々ありすぎて脳みそがオーバーフロー気味なので許して頂きたい。 「あっはっはー、ごめんね克己ー。BJ団が動き始めてるみたいだけど、また今度に……」 「悪かった、チュウタツ」 僕はすぐに飛び起きて、回れ右をして去ろうとするチュウタツの肩を慌てて掴む。 「BJ団」。それは彼氏・彼女のいない奴等の構成する集団である。 十人の幹部と一人の策士が指揮を執り、また多数の構成員が存在するという噂だが、その実情は闇の中である。 ただ確かなのは、彼等がカップル(交際しているかは問わない)を見つけてその邪魔をする事に命を懸けている事。 そして、その際には実力行使も辞さない困った人たちであるという点だ。 ……つまりは、朝の事が誤解されている恐れは大きいというか、彼等の性質を考えるとほぼ確実に誤解されていると思われる。 少なくとも刀部さんと僕が一緒に登校してきたのは言い逃れ出来ない事だし。 「チュウタツ。悪いけど、何とかしといてくれる……?」 情報操作も得意としているチュウタツへ、事態の沈静化(&保身)を僕は頼んでみた。 「んー、条件によってだねー」 友人甲斐のないその言葉に、僕は思わずため息をつく。……そういえば、こういう奴だった。 「今度、学食で、ブルジョワ定食おごる」 「んっふっふー、りょーかーい。放課後までには何とかしておくからー。 そーだねー、取りあえずお昼休みは……そうだねー、裏庭にでも逃げといてー」 チュウタツは報酬さえ払えば仕事は完璧にこなしてくれるから安心だ。 ……本当に友達なのかとか時々疑問に思うとかそういう所はこの際おいておく事にしよう。主に精神衛生上の理由で。 「あ、先生来たみたいだから、それじゃー」 チュウタツはそう言うと、自分の席に戻っていった。 ムーンウォークなのにだが走るような速度で、しかも一度もぶつからずに席に戻れるのは何故なんだろう……。正直、色々な意味で良く分からない奴だと思う。
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01/21(土) | トラックバック(0) | コメント(0) | フォーカード | 管理
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