欲しい。超欲しい。 |
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| 「大統領! ここはもう駄目です!」 「終わりなのか……わが国はもう終わりなのか……」 「残念ながら……」 「このような事に巻き込んでしまって済まなかったね。 もう、私の世話などしなくていい。逃げたまえ」 「……断ります」 「……何だって!?」 「貴方だけでどれだけ実務をこなせると思っているのですか。いつも通り貴方は貴方にしか出来ない仕事をしてください。私は実務をこなすだけです」 「……すまん、本当にすまん……」 大統領は目頭を押さえ、目の前のトランクケースを開いた。そこには様々なトグルスイッチと赤い大きなボタンがある。 大統領は銃声の鳴り響く中、一つ一つのトグルスイッチを上げていった。 「……準備は済みましたか?」 「………………ああ」 二人は、静かな声で頷きあった。 その顔に笑みすら浮かべて。 そう、我々を奴等に殺させる事など出来ない。 我々は死して尚、国の希望とならねばならない。 故に、誇り高き死を選ぶのだ。 大統領は、机の傍らにおいてあるマイク──緊急放送用のラジオの簡易発信機に繋がっている──を掴み、語り始めた。 「親愛なる国民諸君。諸君らの奮戦むなしく、我々の都は陥落しようとしている。 だが、これは我々の敗北ではない。諸君らの心が折れず、諸君らの愛が燃えている限り、我が国は常に存在する。 私の身は最早長くない。この執務室にもまもなく敵が達しようとしている。 だが、私は無様な生を選びなどはしない。 そして、無様な死を選びなどもしない。 私はこの仕事を、大統領という仕事を出来た事を誇りに思う。諸君らの様に良き民に出会い導けたことを、諸君らに導かれたことを誇りに思う。 故に、私は選ぶ。 諸君らの思いに答えんがための、誇り高き死を。 これから、諸君らに私の国家元首として最後の命令を、そしてこの国に住む者として最後の願いを伝える」 そこで、大統領は言葉を切る。遠くだった銃声も徐々に近づいてくる。 そして、大統領は最後の言葉を発し、上げた拳を赤いボタンに振り下ろした。 「常にわが国の国民としての誇りを忘れるな! その思いさえあれば、わが国が敗れようともわが国は決して滅びない!!」
……これは、ある亡国の物語。 誇りに満ちた、破滅の物語。
上記の文章とは全く関係はありませんがこれが超欲しい。 無駄な豪華さとそれに反比例する役に立たなさが素敵すぎ(笑
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08/30(火) | トラックバック(0) | コメント(0) | ネタ | 管理
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